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市観光協会は徳島市と徳島新聞社に対し徹底抗戦中。債権者となった徳島市からの申し立てにより破産手続の開始が決定した「公益社団法人徳島市観光協会」。協会は即時抗告を申し立て、返済資金を確保した報告と徳島新聞社の「見解」への反論を行いました。その2日後には、遠藤彰良徳島市長がインタビューに対して、「徳島新聞社から3億円の寄付を受け立ち上げる新体制」による阿波おどり開催に自信を語ります。まだまだ波乱含みの徳島阿波おどり問題。

破産手続の開始決定に対し、観光協会が即時抗告

協会は「返済の目処がついた」←全国から協力金

ニュース記事によれば、2018年3月1日、徳島市が(債権者として)徳島市観光協会の破産手続きの開始を申立てしました。これを受け、阿波おどりの有名連(グループ)が所属する「阿波おどり振興協会」が中心となって、寄付や融資を呼びかけていたところ、全国の個人や企業から協力金が寄せられて、その金額は何と3億3千万円にのぼったのとこと。

この協力金と協会の現預金約1億5千万円を合計すれば4億8千万円となり、3億8千万円の債務を返済できる=と観光協会は主張しています。

全国の個人や企業から寄せられた協力金は約3億3千万円にのぼり、協会が持つ現預金約1億5千万円と合わせれば、約3億8千万円の債務を返済でき、当面の協会の運営資金についてもめどが立ったとしている

朝日新聞デジタル 2018/4/16 より引用

 徳島市の阿波踊りを主催してきた市観光協会が累積赤字を抱え、徳島地裁から破産手続きの開始決定を受けた問題で、協会は16日、決定の取り消しを求めて即時抗告した...
 徳島市で開かれる「阿波おどり」事業が4億円以上の累積赤字となり、主催者の市観光協会の破産手続き開始が決まった問題で、同協会は16日、記者会見を開き、即時抗告...

 

即時抗告とは?

即時抗告期間は2週間

抗告(=裁判所の決定に不服を申し立てること)の出来る期間は、破産手続開始決定の公告のあった日から起算して2週間以内です。

即時抗告期間は,同決定の公告のあった日から起算して2週間であり,同決定の公告前に通知を受けた破産者についても同じである。なお、破産手続開始決定の公告前に通知を受けた破産者は,公告前でも即時抗告をすることができる

破産法学習ノート2 破産手続開始決定(関西大学法学部教授 栗田隆氏)より引用

ニュースによると、破産手続開始の決定は2018年3月29日。その時に「2週間以内に書類を提出する予定だ」と協会の近藤会長がコメントしています。厳密に言えば、公告(=官報に掲載)した日から起算して2週間が抗告期間です。

3月1日に協会の破産を地裁に申し立てていた。地裁は同29日、協会の破産手続き開始を決定した。協会の近藤宏章会長は「弁護士と相談の上、2週間以内に書類を提出する予定だ」と話した。

佐賀新聞LIVE 2018/3/30 より引用

 

執行停止の効力はない

民事訴訟法では「即時抗告は執行停止の効力を持つ」としています。しかし”例外的に”「破産手続開始決定に対する抗告は執行停止の効力を持たない」とされています。

即時抗告は、執行停止の効力(抗告の対象となっている裁判の内容的効力の発生を停止させる効力)を有するのが原則である(民訴法334条)。しかし、破産手続開始決定の効力は決定の時から生じ(30条2項)、即時抗告が提起された場合でも存続させないと破産手続が円滑に行われない。そのため、破産手続開始決定に対する抗告は、例外的に、執行停止の効力を有しない(大判昭和8年7月24日民集12巻2264頁・[百選*1990a]6事件(廣尾勝彰))

破産法学習ノート2 破産手続開始決定(関西大学法学部教授 栗田隆氏)より引用

 

徳島新聞社の「見解」に対し、観光協会は真っ向から反論

2018年4月16日、徳島市観光協会は記者会見を開き、4月12日に公表された徳島新聞社の「見解」に対して反論しています。

「徳島新聞社、阿波おどりの振興基金創設を提案」報道で「見解」を掲載。2018年4月12日のニュース報道に合わせて、徳島新聞社が「見解」を発表しています。かなり長文な...

 

「赤字の改革案が協会側の反対で前進しなかった」→全く逆だ

観光協会の花野賀胤事務局長は、チケットのオープン販売や演舞場の命名権導入など「逆に協会側の提案が実現してこなかった」と反論しました。

 

「招待チケットは全部買取」→直前に手放した。具体的数字あり

「招待チケットは雨天中止でも全部買い取る形にしている」と主張する徳島新聞社に対し、具体的な席数と金額を示して全く反対の主張をしています。

昨年は同社が確保したうち1684席分が開催2~3日前に手放され、金額に換算すると、当日までに約450万円分の空席が生まれたという。一昨年も直前で約600万円分の空席が生じ、花野事務局長は「損失を考慮しているならば、確保した席を全て買い取るか、枠を手放す期限を決めてほしい」と述べた。

 

「3億円を市に寄付」→お金の行き先がおかしい

「法的に赤字の弁済義務はない」という徳島新聞社の主張は認めがならも、恨み節を言っています。(徳島新聞社側は「協会との信頼関係は崩れ去った」とも書いていたので、これは仕方ないでしょう)

花野事務局長は「確かに間違いないが、40年以上やってきた仲間として3億円の行き先がおかしい」と批判した。

 徳島市の「阿波おどり」事業の累積赤字が4億円以上に膨らんだ問題で、徳島地裁による破産手続き開始決定に対して即時抗告した主催者の市観光協会は16日、徳島市内...

 

徳島市長は新体制による2018年の阿波おどり開催に自信

4月16日の観光協会の記者会見への当て付けでしょうか? 4月18日に徳島市長がインタビューに答えています。いくつかあるトピックスの中から「阿波おどりに」関する部分を抜粋して整理します。

 1期目の任期を折り返した遠藤彰良徳島市長が18日、毎日新聞のインタビューに応じた。遠藤市長は累積赤字を巡り紛糾した阿波踊り事業について、透明性のある運営に...

阿波踊りは開催できるのか?

問題なく開催できる。黒字が出れば桟敷の席料を下げるなどして、還元する。

 

市が主体となれば、税金からの支出が増えるのでは?

税金が多くかかることはあり得ない。市観光協会には、人件費を含め年間約7000万円を税金で支払ってきた。昨年は黒字を出したというが、それよりも多く税金が支払われていた。

 

市観光協会の破産手続き開始は債権者としてやむを得ない判断か?

破産を巡る問題は、赤字解消へ向けた市と主催2者の協議に協会が参加しなかったことに始まる。今までブラックボックスのところをガラス張りに運営して、赤字を解消していければいいと呼び掛けた。

税金を受け、会計をチェックする立場の協会が応じないのはおかしい。弁護士などへの委託で調査を行い、結果を受けて行動し、現在に至る。

過去の市や県の監査で「おおむね良好」とされたのは、我々の責任だ。お金の使い方に問題はないか、深く調べなければならなかったと反省している。

 

徳島新聞社の責任は?

徳島新聞社とは、透明性のある運営を行う点で一致した。反省し、阿波踊り振興に3億円の寄付を申し出た。未来に向かい、今度はしっかりやるということでよいと考える。

 

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