ボーナスシーズンの到来です。私がいた銀行では「マルボキャンペーン」と称する定期預金を増強する行事が毎年恒例となっていました。ノルマ達成のために(冷静に考えれば)イカれた? こともしていました・・・(文中敬称略)
賞与支給の時期に恒例として行われていた定期獲得キャンペーン
6月の下旬から7月にかけて多くの企業で「夏のボーナス」が支給されます。
毎年のこの時期の銀行では、社内の恒例行事として、通称「マルボキャンペーン」が行われていました。「ボーナス獲得キャンペーン」とか「定振(=定期振替)キャンペーン」のような言い方もします。
キャンペーンの目標は「定期預金残高の純増」です。定期預金を増強する方法は主に2通りです。
- 普通預金に滞留する預金を定期預金へ振替する
- 他の金融機関にある預金を預け替えしてもらう
趣向を凝らしてキャンペーンを盛り上げる
私がいた銀行では当時、法人と個人の担当を明確に分けてはおらず、どの営業店でも「法人も個人も両方攻める」が普通。
よって、どこの営業店に転勤しても同じような「キャンペーンの盛り上げ方」をしていました。
獲得ノルマは個人別に割り振りされます。ただし営業店の全メンバーは部署を横断してチーム分けされ、各自の目標の合計金額が各チームの目標金額とされます。
キャンペーンの推進リーダーはチーム別の実績と進捗率を一覧できるようなボードを作成して、毎度の朝礼で発表を行います。
このボードに趣向を凝らすのが推進リーダーの腕の見せ所で、様々なレースに模して盛り上げを図ります。例えば、マラソン、競馬、モーターレース等々・・・
チーム目標の連帯責任と「お願い」営業
個人のノルマのみならず、チームの目標も追いかけられるため必死にならざるを得ません。上手い仕組みではあります。
ノルマを達成するためには、よく知った会社の経営者や役職者、または個人富裕層の方々には「預け替え」をお願いします。
普通預金に数百万円以上が滞留しているお客様のリストや退職金等の大口入金先リストを利用して「普通預金→定期預金」の振り替えをお願いして回ります。
他と比較して特に預金金利が高いわけでもありません。お客様にとっては預け替えや振り替えをするメリットはほぼありません。
ひたすら「お願い」することになります。逆の立場になるとよく分かります。迷惑な話です。。
定期振替にフライパンや花束!?
当時はバブリーな時代の直後です。女性のお客様にはバラの花束を買っていったり(自腹です)もしました。
普通預金に1,000万円が寝ているお客様に「定期預金への振り替え」をお願いしたところ
「んー。フライパンをくれたら、(振り替え)してあげてもいいわ」
と言われて、フライパンを買って持って行ったこともあります(自腹です)。
今考えるとアホみたいです。
でも、そういう時代だったのです。