成田空港のイメージキャラクターだった「クウタン」が姿を消しました。ゆるキャラグランプリ2017でグランプリを獲得した成田市の「うなりくん」の人気と対象的です。実家とも言える成田空港のホームページにさえも完全無視されており、不憫でなりません。(文中敬称略)
クウタンの生い立ち・・・成田国際空港「民営化」1周年記念
成田空港(=成田国際空港)の略称はNAA(=New Tokyo International Airport Authority)です。
従前は、空港の管理は新東京国際空港公団が行っており、空港の正式名称も「新東京国際空港」となっていました。
2004年(平成16年)4月1日、新東京国際空港公団が(日本国政府の100%出資により)民営化され「成田国際空港株式会社」になりました。
同時に空港の正式名称も現在の「成田国際空港」に変更されたのです。
▼成田空港の運営及び名称の変化
時期 | 法人形態 | 運営機関・企業 | 空港の名称 |
~2004年3月 | 公的機関 | 新東京国際空港公団 | 新東京国際空港 |
2004年4月~ | 民営 | 成田国際空港株式会社 | 成田国際空港 |
クウタンは成田空港の民営化1周年記念のイメージキャラクター
クウタンは、2005年に成田空港の民営化1周年を迎えるのを記念して設定されたイメージキャラクターでした。
ゴーグルにマフラー姿の新キャラクターのイメージは「愛があって憎めない、飛行機乗りのヒーロー」です。
▼キャラクターが並ぶ ー 成田空港のクウタンと成田市のうなりくん
うなりくん~♡#空の日フェスティバル#うなりくん#クウタン pic.twitter.com/j88ssDm9Vr
— こだま号🌏🃏 (@kodamagou126) 2016年9月19日
新キャラクターの愛称「クウタン」は公募で決定
キャラクターの愛称「クウタン」は、公募に寄せられた約1万人の応募の中から選ばれました。ちなみにクウタンの命名者は、新潟県佐渡市に住む(当時)29歳の会社員でした。
クウタンの採用理由は、「空」のイメージがあり、子供にも覚えやすいということです。
「クウタン」以外の名称候補としては「ナリタン」や「ナッピー」があったと。(Aerodynamik – 航空力学 2005/6/30)
クウタン誕生当時の評判は?ネガティブコメントもあり
クウタンが誕生した2005年当時の情報を検索してみても、確認できる情報は「新キャラクターに愛称が決定した」という事実報道が若干残っている程度です。
筆者の「見解」をコメントしているいくつかのブログ記事は、クウタンに対するネガティブなトーンが中心です。
低い知名度、利用者への浸透を不安視する声
クウタンに先行きを不安視するネガティブな記事の一例を挙げてみます。
下の記事は「これからどれだけ利用者に浸透していくのか、見守っていきたい」と不安をコメントしています。
実際のところ、残念ながら、この杞憂が現実のものとなってしまいました。
HPで「クウタンの部屋」が公開されているが、まだまだ私たちの目に触れることは少ない。
興味があれば、一度HPを訪れてみるのもいいかもしれない。
日本を代表する国際空港のマスコットキャラクターだけに、これからどれだけ利用者に浸透していくのか、見守っていきたいところだ。
ファンキー通信 2005/7/13 より引用
ターゲット不明確、ビジョンの欠如を批判する声
次の記事は「最悪ですね」と、クウタンを痛烈に批判しています。
- 誰に向けたキャラクターなのか、ビジョンが不明
- もっとジャポン(日本)を主張するべき
常々、成田空港については、その事務所的、役所的、みずほ銀行的なつまらんデザインが日本の玄関として許すべからずと思っていたのですが、なんとキャラまで登場してきました。その名も「クウタン」。
・・・中略・・・
最悪ですね。都営バスやNHKでももっとマシなキャラをもってくるでしょう。
というかヴィジョンが!ヴィジョンが欠けているのですよ。これは誰向けのキャラなんでしょうか!もっとジャポンを主張してはどうでしょうか
TOURISTIC 2005/7/4 より引用
クウタンが成田空港のホームページから消えた
2005年にクウタンが誕生してから5年後の2010年頃に(成田市のキャラクター)「うなりくん」が登場しました。
「うなりくん」は翼とジェットを持った飛行機をイメージしているため、どうしても成田空港とイメージがかぶってしまいます。
さよなら…。うな。#令和元年7月27日#土用の丑の日 pic.twitter.com/uyZRz7feyj
— うなりくん (@unarikun_narita) July 27, 2019
恐らく「うなりくん」が成田空港のイメージキャラクターだと勘違いしている人も多いのではないでしょうか。
「うなりくん」の人気と知名度が年々上がっていく反面、「クウタン」の認知度は上がりません。
ちなみに「空水(くうすい)」という成田空港のPB(プライベートブランド)飲料水のペットボトル容器には、クウタンのイラストが描かれています。
私が会社でその「空水」を飲んでいたら、千葉県出身の人が「このキャラなんですか?」と尋ねてきたくらいです。
消えたキャラクター公式ページ「クウタン庭園」
新キャラクター「クウタン」の登場が発表された時点では、成田空港のホームページに「クウタンの部屋」という公式ページが存在していました。
特設ページの存在は、下のリンク先の記事から確認ができます。
なお、NAAのホームページには、「クウタンの部屋」がオープン。
クウタンの自己紹介、予定表を掲載するほか、クウタンの壁紙やスクリーンセイバーをダウンロードできる。
ただし、下の”イメキャラ”ウェブサイトの情報を見ると、クウタンの公式ページの正式名称は「クウタン庭園」だった可能性もあります。
しかし現在では、リンクを押すと・・・悲しいエラーページが出てきます。
【2018/12/15 追記】成田空港公式ページから「キャラクターページ」が消えていました。
成田空港公式ウェブサイトのグッズ・お土産情報でもハブにされ・・・
成田国際空港の公式ウェブサイトやSNSでは「クウタン」情報やグッズは全く触れられていません。もはや「クウタン」グッズもないのでしょう。
「クウタン」はどこへ行くのか?
「クウタン」もう少し盛り上げてあげても良いのに・・・修行中(キャラ設定)の身内には厳しいのか。
このままフェードアウトさせて「無かったもの」としてしまうのでしょうか。ヽ(´o`;
いっそのこと、もう「引退発表」させて、国際空港にふさわしい日本をイメージしたキャラクターを再設定しても良いのではないかと。