ニュース記事で見た次世代「カミオカンデ」建設計画。2015年のノーベル物理学賞の「ニュートリノ」の研究施設ということですが、その名称の由来が気になって仕方ないので調べてみました。(文中敬称略)
素粒子ニュートリノの観測施設、次世代「カミオカンデ」建設へ
2018年8月24日のニュース記事。次世代「カミオカンデ」建設へ。
次世代「カミオカンデ」建設へ 3度目ノーベル賞狙う https://t.co/WMr5j2j5ep
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年8月24日
日本経済新聞の記事は有料会員向けのため、要点を書きます。
素粒子ニュートリノの観測施設「ハイパーカミオカンデ」を新設する
- 東京大学など国際チームが2010年度に建設調査を開始する
- 新施設は2026年度の稼働を目指す
- 15カ国(米国、英国、韓国、ロシア等)の研究者が参加
- 総工費700億円、費用は参加国に分担を求める
- 素粒子物理学の分野で世界をリードし、新たなノーベル賞を目指す
- 岐阜県飛騨市の地下650メートルに建設する
- 直径74メートル、高さ約60メートルと20階建てのビルに匹敵する
- 規模はスーパーカミオカンデの5倍以上、建設費は7倍
ニュートリノとは何かを知るのに最適な”TED Ed”動画
建設する施設で観測する「ニュートリノ」とはそもそも何なのか?
ごく初歩的な概念を知るのに最適なのが、下の”TED Ed”の動画です。
なぜニュートリノは重要なのか - シルビア・ブラボ・ギャラート
- 素粒子とは宇宙万物を構成する最も小さい要素
- ニュートリノは素粒子の中でも最も小さいものの一つ
- ニュートリノは物質を簡単にすり抜けてしまう
- ただし「稀に」水中の原子核等とぶつかって正体をさらけ出す
巨大な水槽を作って、ニュートリノの衝突を待つ→「ニュートリノ観測所」。
TED Ed の動画では「IceCube」の設備を解説しています。IceCube(アイスキューブ)は南極にあるニュートリノ観測所です。
アイスキューブ・ニュートリノ観測所 – Wikipedia
アイスキューブ・ニュートリノ観測所(IceCube)Home Page
日本にあるニュートリノ観測所は「カミオカンデ」と呼ばれています。
「スーパーカミオカンデ」とは、岐阜県飛騨市”神岡町”にあるニュートリノ観測施設
現在のニュートリノ観測施設は第2世代の「スーパーカミオカンデ」です。役目を終えた最初の「カミオカンデ」の跡地には「カムランド」という別の方法でニュートリノを検出する装置が置かれています。
カミオカンデの名前の由来
1983年に完成した「カミオカンデ(KAMIOKANDE)」は、Kamioka Nucleon Decay Experiment(神岡核子崩壊実験)を略したものです。当初は陽子崩壊の実証を目的としたためこの名称になっていました。
1996年から稼働する「スーパーカミオカンデ」は、当初からニュートリノ検出を目的に加えたため、二つの意味を持たせています。
- Super–Kamioka Neutrino Detection Experiment(超神岡ニュートリノ検出実験)
- Super–Kamioka Nucleon Decay Experiment(超神岡核子崩壊実験)
スーパーカミオカンデの位置
スーパーカミオカンデの内部の様子
スーパーカミオカンデ、12年ぶりに「開封」
スーパーカミオカンデの改修作業
スーパーカミオカンデタンク改修作業記録映像①
スーパーカミオカンデタンク改修作業記録映像②
実験エリアが360度パノラマで見られる
鉱山の地下1000mのスーパーカミオカンデ実験エリアを全天球360度パノラマ画像で体感しよう!
追記:ハイパーカミオカンデ
【追記:2019年8月21日】
2019年8月21日、文部科学省が次世代の素粒子観測施設「ハイパーカミオカンデ」を岐阜県飛騨市に建設する方針を固めたとする報道がありました。
【カミオカンデ後継 予算要求へ】https://t.co/2wgVyAghi3
文部科学省は、次世代の素粒子観測施設「ハイパーカミオカンデ」を、岐阜県飛騨市に建設する方針を固めた。事業費を来年度予算の概算要求に盛り込む。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) August 21, 2019