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人気就職先の都市銀行に入行していきなり課されたノルマは・・・!?1989年(平成元年)4月に、私は富士銀行 へ入行(入社)することになりました。そこで待ち受けていたものは・・・

 入社に至った経緯はこちら

いきなりノルマ … 富士銀行(みずほ銀行の前身

配属先は市ヶ谷支店。母校である上智大学の四ツ谷キャンパスからは徒歩圏内で、馴染みのある街でした。市ヶ谷支店の同期は6人。うち4人が総合職(男性3+女性1)でした。

大手町で入行式を終えて支店に戻った私たちを1冊のフォルダーが待っていました。開くとペーパーが1枚。”実績管理表”でした。

 

来月末までにクレジットカードとカードローンをそれぞれ100枚獲得してください。」

「両方100枚ずつですか?来月まで!?」

 

そして、申込書が山ほど入った紙袋を渡されました。

 

(正気か?実質的に2ヶ月ないじゃないか・・)

 

当時の銀行は新入行員が多すぎて集合研修が2回に分かれていました。私は4月の後半2週間は町田の山奥の研修所で缶詰めだったのです。

 

研修期間以外は基本的に預金課の後方での事務OJTでした。カードを獲得の目的であれば外出OKでした。

なにせ取引先をまだ持たない新人です。明言しませんが『親戚、友人、後輩とあやゆるルートを使ってカードを拡販せよ!』というのが暗黙のプレッシャーでした。

 

特に重点ターゲットは学生です。富士銀行は学生専用のクレジットカートとカードローン”club [ef] ”を発売した直後で、とんねるずをキャラクターに起用して盛んに宣伝をしていました。ちなみに当時のとんねるずは『ねるとん紅鯨団』の大ヒット等で若者から絶大な人気を得ていたのです。

 

OB訪問の学生を餌食に

まず餌食となったのはOB訪問でやってくる学生でした。さすがにこちらからOB訪問に誘い出すことはNG。ただし学生側からアポを入れてきた場合は、もうロックオンです。

4、5人が一緒に支店を訪ねてきたケースもありました。ロビー脇のドアを開けて応接室に案内する時点から、私と先輩方とのアイコンタクトで準備が始まります。預金口座作成とカード申込書のセット~お茶出し~手続きといった一連の流れがチームプレーで行われ、滞りなく”刈り取り”終了です。

OB訪問の本来目的である質疑応答が始まる前に『これ、協力してくれる!?』と切り出すため、断ることのできる学生はいません。

 

実は、私が所属していた上智大学体育会競技ダンス部には100名近い現役学生の後輩がいました。ここに声を掛ければ一気に大量獲得することも可能ではありました。しかしとても規律を重んじる部なので「先輩後輩の力関係をここで利用するのは一線を超えてしまうこと。」という思いが強く、最後まで利用はしませんでした。

Home
上智大学競技ダンス部ホームページです(・∀・)COME ON!!!

 

(後日談ですが、私たちの年代が学生相手にClub [ef] を激しく勧誘したことが社会問題化して、翌年度から学生へのセールスは自粛かつノルマ対象外となったそうです。)

 

直接的な上下でなく、関係がフラットな高校や大学の同級生に片っ端から電話をかけまくり、数字を積み上げていきました。

 

捨て身の戦法

しかし終盤にさしかかると、さすがに弾切れとなってきました。

 

そこで私がとった行動とは!?

 

交番を突撃

支店の近くの交番を訪ねました。

 

「あの、お仕事中すいませーん。」

「どうされました?」

 

机で仕事をしていた制服の警官は、手を止めて聞いてきました。

 

「実は・・クレジットカードとカードローンを作っていただけませんでしょうか?」

 

その瞬間、警官の表情が険しくなったのがわかりました。

 

「な、なんなんだ君は!?」

「その、少し行った先の富士銀行の行員です。」

「なにい!? ちょっと、ここに座りなさい!」

 

職務質問が始まってしまいました。。

 

内容はもうよく覚えていませんが、恐らく「そんなことで公務を邪魔しに来るもんじゃない」みたいな話だったのでしょう。

結局、さんざん説教された挙句、カードの獲得には至りませんでした

 

逆アンケート?

またある日は、確か池袋の駅前の路上でのこと。「アンケートをお願いできませんか?」と声をかけてきた若者がいました。

 

(飛んで火に入る夏の虫!!)

 

とばかりに、私はカバンからカードの申込書を取り出すと、その若者に詰め寄りました。

 

「カードを作って下さい!それであればアンケートにお答えしましょう!」

 

想定外の切り返しにドン引きした若者は、そそくさと逃げていってしまいました。

 

ガチなノルマはこんなもんじゃない

ノルマを追いかけ七転八倒している時に、支店の4年上の先輩に聞いてみました。

 

「こんなカードのノルマって毎期繰り返されるのですか?」

 

「そうだよ。どんどん増えていくね。この上期の僕のノルマはまだ1,500枚程度だけど・・クレジットとカードローンそれぞれね。」

 

「・・・!?」

 

私たちのノルマがまだ可愛く感じた瞬間でした。

 

保険とのバーター

こんなノルマはまともなやり方では無理です。そもそもカードの勧誘は銀行員のメインの業務ではありません。十数項目あるノルマのうちの一つに過ぎず、そればかりやっている訳にもいきません。

主に行われていたのは保険会社とのバーター取引でした。保険契約先を斡旋する見返りとして大量の預金口座とカード作成を受けるのです。実際、時々先輩の机の上には、ものすごい数の通帳が束になって置いてありました。

 

新入行員は、問答無用の空気の中で、芙蓉グループの生命保険会社の生命保険を申し込みます。これもバーターの一要素になっていたのかもしれません。

 

さらに私の場合は入行年度に「介護保険」に加入しました。先輩のバーターの一環でした。それもライバルグループの生命保険会社に・・

「先輩っ! 介護保険って、私はまだ22歳なんですけど・・」

「いいから、いいから。数年たったら解約しちゃえばいいんだよ。」

 

ああ、バブル・・

 

 

30年前の記憶を辿っています。このため各エピソードの時期、前後関係や発言内容が事実と異なっている場合がございます。結果として一部フィクションが含まれることをご理解ご認識ください。

 

 

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