バブル時代の銀行員「新人の仕事内容・集金業務」大変なマグロの運搬

投稿日:2018年2月 15日(木) 更新日:

ホンダ スーパーカブ

アウトソーシングがまだ進んでいなかったバブル時代。銀行の新人の基本的な業務の一つである大口先の集金。ペーパードライバーだった私には試練となりました。車の運転テストの結果、融資スペシャリストの道を歩み始めたという話。

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バブル期の銀行員にとって、集金業務も重要な業務だった→マグロも運ぶ

富士銀行(みずほ銀行の前身)で最初の配属先である市ヶ谷支店。外堀通りに面したその場所は、坂を上れば通称DNP村へと向かう交差点の近く。一歩入れば、右も左もDNPすなわち大日本印刷の巨大工場と関連施設ばかりとなります。このため印刷・出版関係の歴史ある会社もこの周辺に数多く集まっていました。

市ヶ谷DNP村

 

DNP村と同様に広大な敷地を占めるのは自衛隊市ヶ谷駐屯地。1970年に三島由紀夫が自決したあの場所です。

その他、学校法人や病院関係の取引先もあり、集金も主要な業務の一つとなっていました。

貸出の拡大だけでなく、預金の獲得も大きなウェイトを占めていたのです。

購買局(売店)があって多量の現金を扱う大口取引先の中には、朝夕の1日2回集金に通う先もありました。

このような先は大量な硬貨の集金が発生します。硬貨がぎっしり詰まった、通称「マグロ」と呼ばれる大きな袋を、引きずるように運んで車に積み込みます。

今日はマグロが5本あった!」という会話がされるほどの量になるため、集金には自動車の利用が必須です。自転車やバイクでは無理でした。

 

ドライビングテスト

このような大口集金は、慣れてきた新人の担当になります。

ある時、課長に呼ばれました。

「奥野くん、車の運転は大丈夫か?」

「ペーパードライバーで、自信がありません。」

大学1年の夏に合宿免許で教習を受けて以来、4年間全く運転をしていませんでした

困った顔をした課長は、庶務行員のNさんを呼び出して言いました。

「Nさん、ちょっと奥野くんの運転を見てやってくれるかな?」

「はい。承知しました。」

銀行の支店には一般行員と別に、一般銀行業務以外の諸々の店舗事務を司る”庶務行員"さんがいました。支店長車の運転手を兼ねることもあります。

Nさんの前職は自動車教習所の教官であり、まさにうってつけのお役目でした。

そして私はNさんと路上運転に出ることになりました。まるで自動車教習所の卒業検定のような雰囲気です。

「じゃあ、スタートしましょうか。」

「はい! (ゴゴッ!!) あっ!!」

クラッチを戻すタイミングが合わず、いきなりエンストしました。当時の自動車、当然ながらマニュアル車です。

Nさんが笑っています。気を取り直し、そろそろと昼下がりの外堀通りに出ていきました。

広い道路ならば免許合宿先の山形の田舎道で慣れています。スピードも怖くありません。

(これは大丈夫じゃないかな ♬)と楽観ムードにもなってきました。

神楽坂下を抜けて飯田橋にさしかかるころ、Nさんが言いました。

「そこ、左に曲がって!ちょっと狭い道へ入りましょう。」

「うぉっ!?」

路地に入ってすぐに私はうめき声を漏らしました。

両脇には路上駐車の自転車の波。更には人も自転車も頻繁に車の前を行き交っています。

Nさんは、さすが教官で慣れているのでしょうか、涼しい顔をしています。

 

「奥野さん。自転車、自転車!」

「は、はい!」

 

時々、注意を促してくれます。

 

「左、駐輪車ね・・あっ、あっ!!」

「ひぇ~! こすりました?こすりました?」

「いや、ギリギリだったねー。」

 

何とか無傷で支店にたどり着いたものの、もし卒業検定だったらアウトだったでしょう。

 

そして、融資担当者の道へ

「奥野さんの運転、ありゃダメだねぇ。集金は無理だと思いますよ。」

という、Nさんの報告を受けて私の集金業務は免除されました。

 

当時の銀行では主要な取引先に対しては二人担当制をとっていました。

  • 外回り中心の渉外担当者
  • 内勤が中心の融資担当者

 

車の運転だけの理由ではないでしょうが、私は内勤中心の融資担当者となりました。

私のその後の融資畑中心のキャリアはここからスタートしたのです。

 


 
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車を買うぞーー!

内勤中心とはいえ、時には外訪して交渉や手続きを行う場面もあります。近場であれば徒歩や自転車でOKですが、少し遠出する場合もあります。

 

そこで用意されたのは、スーパーカブ!

 

ホンダ スーパーカブ

 

正直言って嫌でした。バイクは不格好なヘルメットを被らなければいけないし、雨でも降ろうものならスーツが台無しです。マルイのカードの分割払いでやっとこさ買うことのできたDCブランドのスーツなのに・・

 

(車の運転はもともと下手なわけじゃない。練習して今年中に上達してやる!)

心にそう誓いました。

 

スーパーカブにまたがり、思いっきり加速しながら、

 

「今年中に車を買うぞー!絶対に!!」

 

と、外堀通りで夕陽に向かって叫ぶ私がいました。

 

ああ、バブリー・・

 

 

30年前の記憶を辿っています。このため各エピソードの時期、前後関係や発言内容が事実と異なっている場合がございます。結果として一部フィクションが含まれることをご理解ご認識ください。

 

 

本当に車を買ったのか? はこちらの記事で
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