多くの銀行と取引をしていると必ず戸惑うのは、インターネットバンキングの操作性の違いです。「入出金明細の照会範囲の指定」にフォーカスして8つの金融機関を比較してみました。開発者はもっとユーザー目線に立たないとダメだ。(文中敬称略)
預金口座の入出金明細の照会画面の違い
OWNDAYS は現在10以上の銀行に預金口座を持っています。
財務経理は、毎月のルーティンとして各口座の動き(入出金の明細)をダウンロードして保存します。
しかし、この「入出金明細」を照会する(調べる)際に、期間の範囲を指定する方法が銀行によってバラバラなのです。
実は、使い勝手が悪い銀行の方が多いのです。「ユーザーの利便性」を真剣に検討しているのかどうか、銀行側のスタンスも透けて見えるとさえ思ってしまいます。
メガバンクと信用金庫は独自のシステム
まず、現在(2019年11月)時点で最も使い勝手が悪いのは、2つのメガバンクです。
「残りのメガバンク1つはどうした? 」かと言うと、銀行取引正常化と同時に私の方から取引を解消しました。
メガバンクのネットバンキングは、それぞれ独自のプラットフォームを開発して使用しています。
大手の信用金庫も独自のプラットフォームを使っています。
しかし残念ながら、メガバンクの仕様および後述する地銀(地方銀行)の統一プラットフォームと比較すると(信金オリジナルは)全然イケていません。
地銀は2種類のプラットフォームに集約された
2010年代に入ってから、ネットバンキングの仕様を変更する地銀が相次ぎ、大きく2つのプラットフォームに集約されました。
しかし、同じプラットフォームなのに細かい設定が統一されていません。認証方法や照会方法が見事なまでにバラバラなのです。
他社の事例を知らず、実務の経験もない者が開発しているからか?
金融機関別の照会範囲の指定方法の比較
では実際に、いくつかの銀行の”法人向けネットバンキング”で「入出金明細を照会する」操作の画面をキャプチャーして比較してみましょう。(2019年11月5日現在の状況)
私の独断で「使い勝手が良い」と思う順番に並べます。
地銀プラットフォームA
2017年あたりから地銀の主流となったプラットフォームです。
ほとんどの操作画面は共通ながら、照会する期間の範囲指定の方法については、同じ仕様の銀行が1つもありません。
地銀1
この金融機関の照会期間の範囲指定が「最も細かく広範囲」で秀逸です。
プルダウン式で「(紹介できる範囲)すべて」から「前々月」まで幅広くダイレクトで指定できます。
未照会明細だけを紹介する「最新分」というボタンもあります。
- 期間で指定(プルダウン)すべて、当日、当月、前月、前々月、最近1週間
- 日付範囲で指定
- 最新分(未照会の明細)
地銀2
ここは次点です。ちょっと惜しいものの、必要なポイントは押さえています。
- 期間で指定(プルダウン)当日、当月、前月、前々月、最近1週間
- 日付範囲で指定
地銀3
ここは(プルダウンによる)ダイレクトメニューの「前々月」がありません。
- 期間で指定(プルダウン)当日、最近1週間、当月、前月
- 日付範囲で指定
- 最新分(未照会の明細)
地銀プラットフォームB
このプラットフォームBは、上記のプラットフォームAよりも古く、ログインの認証方法、照会機能や印刷機能などが陳腐なままです。
また「当月」や「前月」といったダイレクトボタンがないため、いちいち日付を入力する必要があるのが煩わしい。。
地銀4
ダイレクトボタンが「本日の照会」しかありません。期間指定するのが面倒くさいです。
- 本日の照会
- 期間指定
地銀5
上の「地銀4」と同じように見えます。しかし「過去明細(期間指定照会)」は前日までしか指定できないという違いがあります。
例えば「1週間前から本日までの入出金明細を調べたい」ときには、「当日明細」照会と「過去明細」照会の2つの操作を行う必要があるわけです。
クソです ヽ(´o`;
- 本日の照会
- 期間指定
独自プラットフォームの信用金庫
ここで紹介する信用金庫は「システムは自社開発にこだわっています!」と言っていました。しかし正直言って自己満足に過ぎません。
信用金庫1
この信用金庫は、珍しく「週単位」をプルダウンで指定するメニューがあります。でも使ったことはありません。
月単位指定も「当月」と「先月」をプルダウンメニューでダイレクト指定できます。
しかし、いかんせん全体的にチープな仕様が好きにはなれません。いわゆる「手作り感」に溢れています。
- 指定なし
- 週単位指定
- 月単位指定(プルダウン)当月、先月
- 日指定
メガバンクの独自プラットフォーム
前述したとおり、メガバンクのネットバンキングは、それぞれ独自のプラットフォームを開発して使用しています。
相当な開発コストをかけていることは容易に想像できます。しかしそれが故に、仕様をちょっと変更するにも莫大なコストがかかるのでしょう。
使い勝手の悪いUI(ユーザーインターフェース)のまま、かなり長い期間にわたって変化がありません。
私から銀行に改善提案をしたこともあります。しかし一向に変わりません。。
メガバンク1
ダイレクトボタンが「本日分」と「今月分」のみです。
過去に「せめて”前月分”ボタンをつけてくれ」と営業店経由リクエストを出したものの、シカトされています。
- (各々独立)本日分、今月分、日付指定の種類のみ
メガバンク2
上記のすべての金融機関の中でも最悪です。
ダイレクトに期間を指定するボタンがありません。他の金融機関と比較すれば、開発側がユーザー目線に立っていないことが明白です。
- 照会期間の指定のみ
開発側も自分で使うか他社の仕様を調べるべき
何でこんなにも操作性にばらつきがあるのか!?
開発する人たちは、リアルなビジネス現場にもっと想像を働かせる、または自分でやってみる・・・くらいじゃないとダメでしょう。
それが無理であれば、せめて他の金融機関の仕様を調べたり体験してみたりすれば、上記のような「残念なユーザーインターフェースは出来上がらない、放置されない」はずです。
こんな使い勝手の悪さだけでも「顧客の側に寄り添っているか否か」の銀行側の姿勢をユーザー側は敏感に感じ取るのです。