「JAバンク」というCMを目にすることも多いため、そういう名称の銀行があると思っている方も多いのではないかと思います。しかし、実際にそういう名称の金融機関は存在しません。世界に名だたる「親分」農林中金を含めた金融事業の総称、いわば概念なのです。
JAバンク アプリPV動画
JA信連から営業の電話が来た
先日のことです。「JA大阪信連」から本社に営業の電話が入りました。私は前職でJAの仕組みを調べたことがあったのでピンときましたが、普通は「なにそれ?」という印象を持つでしょう。
「融資のご提案をさせていただけませんか?」
「JA信連さんって・・・親玉は農中(=農林中央金庫)さんですよね? 一般の企業とも取引するのですか?」
「はい、そうです。地域金融機関として一般的なお取引もしています。」
「えっ? 本社は東京なんですけど・・・テリトリー外ではないですか?」
「問題ありません。特にテリトリーは決められていません。」
JA東京信連もあるのに、わざわざ大阪の拠点と取引をするのもどうかと思いましたので、お断りしました。
改めてJAバンクの全体像を思い出してみようとしたところ、10年以上も経ってしまうと、「理解した」と思っていた詳細がはっきりしません。
備忘録を兼ねて、今一度まとめてみました。
「JAバンク」は概念である
簡単に説明します。
- 農業協同組合(JA)
- 信用農業協同組合連合会(信連)
- 農林中央金庫(農林中金)
この3つの機関が行う金融事業の総称を「JAバンク」と呼びます。
JAバンクという名の金融機関があるわけではありません。
名前のとおり農業協同組合(JA)の正組合員である農家が取引先の中心ではありますが、組合員以外との取引も行っています。
「JFマリンバンク」という概念もある
同じような仕組みで漁業取引をメインとした仕組みもあります。
- 漁業協同組合 (JF)
- 水産加工業協同組合 / 信用漁業協同組合連合会(JF信漁連)
- 農林中央金庫(農林中金)
この3つの機関が行う金融事業の総称が「JFマリンバンク」です。
中央機関は農林中央金庫
上記の「JAバンク」「JFマリンバンク」ともに、構成する機関として農林中央金庫(農林中金)が含まれています。
これらの2つの他、FOREST(全国森林組合連合会)を束ねる農林中金を系統中央機関と呼びます。各々の金融事業において中央銀行のような役割を持ちます。
農林中金は一般の個人や企業には馴染みが薄いかもしれませんが、日本を代表する巨大な機関投資家として海外では知られています。