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銀行の融資「政治家の口利き」による特例措置?「忖度」はあるのか?

政治家を動かすことによって融資を引き出すことができるのか? 実例を紹介。銀行の融資について政治家が口を挟むケースはあります。実際に忖度して無理を通すのか? 時代によって変化はしているはずですが、私が現場で体験した「政治家の介入」は、金融機関が不良債権で傷んで大問題となった時期でもあるので、さほど無茶を通すことはなかった印象があります。(文中敬称略)

大物政治家が動いた事例

20世紀終わりから21世紀始めのころ、私が銀行の営業店にいた時の実例です。

取引先M社の債務者区分は「要注意先」(=不良債権予備軍)でした。

金融危機と銀行の不良債権問題が大きくなってくると、M社は銀行から新規の融資を受けることが難しくなりました。

すると、複数の政治家の後援会に入会していたM社のA社長は、切り札として政治家に相談して口利きしてもらう動きに出たのです。

●●大臣の口利き

中小企業事業団(=現在「中小機構」)に「倒産防止共済(=現在「経営セーフティ共済」)」という制度があります。

簡単に説明しますと「掛金を払って共済に加入しておくと、取引先が倒産したときに、まとまった金額の共済融資を受けることができる」という仕組みです。

この倒産防止共済に加入していたM社は、あるとき取引先が倒産して回収できない販売代金が発生しました。そこで中小企業事業団に融資を申し込みしました。

ところが案件が集中しているのか、なかなか審査が進みません。私も中小企業事業団側に連絡をとって進捗を確認して手続きを急かしましたが、遅々として進みません。

ついにM社のA社長は政治家に相談しました。

「奥野さん、●●先生にお願いしたから」

とA社長はニヤリとして言いました。●●は現職の■■大臣です。

するとその日の午後、中小企業事業団から私に電話が入ってきました。

「倒産防止救済融資の決裁がおりました。●●日には入金が可能です」

「え? 先日はまだ全然わからないと仰っていたのに・・・」

「いや、実は■■大臣から電話がかかってきました。それで・・・」

どれだけ順番待ちをすっ飛ばしたのか・・・?

中小企業事業団へ電話をしたのは■■大臣本人ではなく秘書だと思いますが『さすがの権力だな』と強く印象付けられました。

国対委員長の口利き

同じM社の事例です。一般の融資が全く出なくなった銀行に対しても政治家を使ってきました。これも名の通った、ある政党の国対(=国会対策)委員長です。

この時は、銀行本部の経営●●部が窓口となりました。経営●●部から支店に連絡が入りました。

「▲▲先生が、M社に融資ができない事情を説明してほしいと仰っている。資料を送ってほしい」

そこで、M社の財務検討資料や経緯記録等を送ったところ、返ってきた返事はこうでした。

「▲▲先生は『融資ができない事情は理解した。ただし俺の顔を立ててくれ』と仰っている」

こういう言われ方をされるとさすがにゼロ回答はできません。

「顔を立ててくれ」という言葉を「忖度」した営業店側は「M社が持っている銀行の株式を担保にして1千万円の新規融資を行う」という妥協案を示しました。

この銀行株式の担保ランクは最上位となります。結局は銀行としてはギリギリの譲歩でした。

ご苦労様でした。▲▲先生も満足されました」と本部から連絡が入って、この件は落ち着きました

後日、融資手続で顔を合わせたM社のA社長は「いやあ~、銀行ってやっぱり厳しいんだね。よくわかったよ」と言い、それ以降にまた政治家を動かすことはなくなりました。

都議会議員に動いてもらった事例

次の事例は、私が銀行から離れてオンデーズの再生に取り組んだ初年度の話です。リーマンショック直後の2008年の冬です。オンデーズの再生物語はこちら ↓

僕は『絶対倒産する』と言われたOWNDAYSの社長になった。|田中修治@OWNDAYS C.E.O|note
売上20億,負債14億,赤字2億『絶対倒産する』と言われ、メガネ業界内ではただの質の悪い安売りチェーンと馬鹿にされ続けていたOWNDAYSが10年間で奇跡のV字回復を遂げて、売上150億,世界10カ国に進出するまで・・、...

東京信用保証協会「緊急保証」内諾を得る

リーマンショック直後の2008年10月に創設された「緊急保証制度」。

市町村の「認定書」を取得すれば利用できる、信用保証協会の保証特別枠を拡充した制度です。

同年7月末に11ある取引銀行全ての返済リスケジュール(=約定の返済金額を減額する)の交渉に突入していたオンデーズは、まともに銀行に相談しても取り合ってくれなさそうでした。

既に区役所から「認定書」は取得しています。そこで人の紹介で都議会議員の先生に接触しました。

お会いした先生は熱血漢で「頑張っている若手の経営者を応援したい!」とすぐさま動いてくださり、1週間程度で連絡が来ました。

「東京都信用保証協会の内定は取り付けました。実行してくれる銀行が決まればすぐに保証書(=信用保証協会が銀行に対して保証するもの)が発行されます!」

銀行はどこも受けてくれなかった

私はまず取引のある銀行に相談しました。結果は全て「拒絶」。

飛び込み営業をかけてくる銀行にもいくつか相談してみましたが、すべて「拒絶」です。十数の金融機関の全てが「申込を拒絶」したのです。理由は「返済リスケジュール中だから」

何のための「緊急保証制度」なんだか! 厳しくて緊急を要するから返済リスケジュールしているのではないか!?

結局、政府の意向も虚しく、本当に必要としている中小企業には役に立たなかったわけです。都議会議員の方の尽力も無駄骨となってしまいました。

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