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ソーシング(案件開拓)担当者のトークは根拠のないでまかせが多い。オンデーズが再生途上で財務内容がひどく傷んでいる時期、はたからは急成長している有望企業に見えたからでしょう。ベンチャーキャピタルが盛んにアプローチしてきました。私が「無理だ」と言っても「大丈夫」と根拠のない見得を切って(=でまかせ)決算資料他を入手しようとするひどい連中が多かったことは知っておいた方が良いのです。

フランチャイズ・ショーで寄ってきたD社

1つめの事例はフランチャイズ・ショーで錯覚を起こしてミスリードしたVCのD社の話です。

はったり(アイランド)ブースに釣られた営業マン

毎年3月に東京ビックサイトで開催される「フランチャイズ・ショー」(日本経済新聞社主催)は、FC(フランチャイズ)に関する国内最大規模の展示会です。

オンデーズは2009年に初めて出展しました。2008年7月末に銀行の返済リスケジュール(=約定の返済金額を減額すること)を行い、まだ資金繰りが火の車の状況でした。しかし社長の田中修治は10コマ(1コマ=出展区画の最小単位)をリクエスト。周囲の抵抗と心配に対し「10コマでやらないのであれば、出展しない。中途半端はダメだ」と、頑として譲りませんでした。

そして、下の会場案内図のとおり、10コマで島(アイランド=4方向を通路に囲まれる)を丸々使い、かつ出入口の真正面という絶好のポジションをゲットしたのでした。他で島(10コマ)使っている企業なんて、ダスキンさんくらいしかありません。

FCショー2009会場案内図

「オンデーズをさがせ!」フランチャイズ・ショー2009 会場案内図

 

展示会当日はキャンペーンガールを使ってバックを配布、大型ディスプレイやレンズ加工の実演等のイベントも行い、かなり目立っていました。

フランチャイズ・ショーOwndays

フランチャイズ・ショー OWNDAYS ブース(2009年~2011年)

 

はたから見たら、とても勢いのある会社と錯覚するでしょう(錯覚してもらうのが狙いですが)。

獲物を探しに展示会へやって来るVC(ベンチャーキャピタル)の営業マンA氏にとってもオンデーズがそのように見えたのは仕方がありません。社長にしつこいくらいアプローチしてきて「ぜひ資金支援の提案をさせてくれ!」とアピールするため、A氏が連れてくる上司と面談することになりました。

 

上司を連れてきたものの・・・

そしてある日、南池袋にあったオンデーズの本社にA氏とその上司が来社しました。当時はまださびれた雑居ビルの中の狭いオフィスです。社長の田中と私で応対しました。

A氏がまず言ったこと・・・

 

「実は私は異動になりました・・・」

「えっ・・・?」

何となく嫌な予感がしました。しばらく沈黙が続きました。

 

すると、A氏の上司がふんぞり返ってあからさまに上から目線で、質問してきました。

「何だか、お宅が融資を受けたいと言っているということですが・・・」

 

(へっ?)

その想定外の態度と言葉に、田中も私もいきなり沸騰してしまった感じでした。

 

「あれ? 何ですか? こちらが何かをお願いするという話になっているのですか?」

私がA氏に顔を向けてムッとした表情で尋ねると、A氏は慌てふためいた感じで、何か言い訳をしていましたが、もはやはっきりと覚えていません。

 

決算書にざっと目を通して結局出てきた言葉は「今の状況だと難しいですね」というA氏上司の”感想”だけでした。「今は」とか言ってはいるものの、異動が決まってその後任についての話すらしないということは、フェードアウトしたいのがミエミエです。

 

(そんな結論になることは最初から分かっていて、だから『会っても無駄だ』と言っていたのに)

その後、私がアプローチしてくるVCやファンドに対して極端に冷たくなったのは、この件がきっかけでもあります。

 

店舗拡大の勢いに寄ってきたJ社

2つ目の事例は、オンデーズが国内100店舗を超えて続伸を続け、海外進出も始まった勢いを見てアプローチしてきたVC大手J社の話です。

 

直接社長にアプローチかけてきた

J社のB氏はまず私に何度も電話で営業をかけてきました。私はこの手の営業電話はハッキリとお断りするタイプなので、恐らくB氏にとっては「けんもほろろ」といった感じだったでしょう。

すると、B氏は社長の田中に直接アプローチを始めました。そしてB氏の思惑通り、「奥野さん、J社がしつこくてうるさいから、決算書を渡してあげてよ」という展開になったのです。「いや。無理だと思いますよ」と言いながら、私はとりあえずB氏に資料ファイル(稟議パッケージ)を渡したのでした。

 

ひどい捨て台詞

しばらくしてJ社のB氏から「支援不可」の回答がありました。回答自体は想定どおりですが、B氏が言い放った言葉がひどい。

「いやあ。こんなに利益が低いとは思っていなかったです・・・」

 

(だから最初っから無理だと言っていたじゃないですか! 『いやいや、うちは銀行とは違うから大丈夫』とか見得を切っておいて、その言い方はないでしょ!)

と怒鳴りつけたかったですが、もうこういう輩(やから)をまともに相手しているだけ時間と精力の無駄です。とっととお帰りいただきました。

 

 

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僕は『絶対倒産する』と言われたOWNDAYSの社長になった。|田中修治@OWNDAYS C.E.O|note
売上20億,負債14億,赤字2億『絶対倒産する』と言われ、メガネ業界内ではただの質の悪い安売りチェーンと馬鹿にされ続けていたOWNDAYSが10年間で奇跡のV字回復を遂げて、...

 

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