大好きだった江口寿史のマンガ『ストップ!! ひばりくん!』のコンプリート・エディションを購入。ひどく中途半端に終わっていた最終話に5ページを加筆した”完成版”を出版していた事実を最近知ったのです。昔モヤモヤした人は必読かも。(文中敬称略)
『ストップ!! ひばりくん!』コンプリート・エディションを買った!!
マンガ『ストップ!! ひばりくん!』コンプリート・エディションを Kindle で見つけて、セット買いしました。
2010年2月の発刊なので「いまさら」感はあります。
しかしどんなに好きなマンガでも、30年以上もずーっと情報を追いかけ続けるのって無理ッス。
溢れかえる情報の濁流に巻き込まれて消えてしまい、私の目に留まっていませんでした。
数種類が発刊されていた人気マンガシリーズ
たぶん私の実家には、数十年前に買ったコミック本がまだ置いてあるはずです。
雑誌の連載中はもちろん、連載終了後も何度も読んでいたのです。
『ストップ!! ひばりくん!』はこれまでも数種類のパッケージで出版されています。
それらの中でも作品の収録数が最も多いのが”コンプリートエディション”という触れ込みです。
『すすめ!!パイレーツ』と『マカロニほうれん荘』
作者の江口寿史は1977年『すすめ!!パイレーツ』で週刊少年ジャンプに連載デビュー。
ちょうど同じ時期に週刊少年チャンピオンで連載されていた、鴨川つばめ作『マカロニほうれん荘』と人気を二分します。
当時の小中学校でのマンガの話題と言えば、必ずどちらかの作品が出てくるほど、少年たちには大人気でした。
大ヒット作『ストップ!! ひばりくん!』
そして1981年から連載を開始して大ヒット作となったのが『ストップ!! ひばりくん!』でした。
ところが段々と遅筆の傾向が酷くなってきた江口寿史は、しばしば連載をスキップ。
最終的には中途半端なシーンで最終話を終えて連載をストップしてしまったのです。
中途半端な最終話が27年ぶりに完結
めちゃくちゃ中途半端な終わり方をして(私を含む)読者を悶々とさせていたこの作品。
なんと27年ぶりにラストシーンを5ページ加筆していることを知りました。
「ストップ!! ひばりくん!コンプリート・エディション」は表紙を江口が描き下ろし、本編に加筆修正と再編集を加えたシリーズとして2009年より刊行を開始した。
最終巻となる3巻は、未公開エピソード21ページを江口による解説付きのボーナストラックとして収録。またラスト5ページが新たに書き足された、最終話の完全版が収録されている。
コミックナタリー 2010/2/27 先ちゃん27年越しで最終話描く。「ひばりくん」完結 より引用
「完結」といっても主人公たちが何かドラマチックな結末を迎えるといったことではありません。
ただし数十年間「ナニコレー??」と感じていたモヤモヤは解消されます。
そしてギャグ漫画的に「不条理なまま」終了します。
『後は読者のご想像にお任せします』といった、映画的なエンディングとも言えましょう。
他と一線を画する江口寿史ワールド
私がこのマンガを読んだのは数十年ぶりだと思います。ほぼ全てのシーンに見覚えがあります。
それでもクスリと笑ってしまう。ひばりくんの可愛らしさにドキッとしてしまう。
それ以前の『マカロニほうれん荘』も同ジャンルの「ナンセンスギャグ漫画」でした。
さらに遡れば、『天才バカボン』や『がきデカ』など、一斉を風靡したナンセンス作品もありました。
しかし、これほど魅力的な美少女(?)キャラクターが登場するギャグ漫画があったでしょうか?
高校時代と重なるマンガ作品
『ストップ!! ひばりくん!』が連載された1981~83年は、私の高校時代と完全に重なっています。
同じ時期に連載されていたマンガで私が好きだったのは、あだち充の『みゆき』です。
奇しくも、両作品とも美少女(?)と同じ屋根の下で住むことになった葛藤を描く作品です。
まさかそんな願望が!? という指摘は否定しません。
ヘタレだった私が、全く同じ年齢設定の登場人物たちに強い共感を覚えていたのは間違いありません。
江口寿史はやっぱりマンガ!!
『ストップ!! ひばりくん!』以降の江口寿史は、幾度となくマンガ連載の放棄を繰り返します。
そしてPOPな美少女画を中心としたイラストレーターとしての仕事が増えていきます。
マンガの中のキャラクターが好き
しかし私はやはりマンガの中で描く江口寿史のキャラクターが好きです。
何というか、マンガのストーリーの中で感情表現をするキャラクターはイラストの1枚絵の中で描かれるとは別物に見えるのです。
語弊があるかもしれませんが、「泳いでいる魚」と「死んだ魚」ぐらいの違い?
もっともっとマンガ作品を描いてほしいし、次世代の人達にも読んでほしいと切に願うのでした。。