もはや定着化した「毎月1日」の映画サービスデー。料金が1000円になる「12月1日の映画の日」と混同している人も多いようです。主要シネコンの状況と割引サービスの歴史を調べてみました。(文中敬称略)
ファーストデー(毎月1日)は本来の「映画の日」ではない
いまやほとんどの映画館で行われていると思われる「毎月1日」の料金割引サービス。
この1日を「映画の日」と呼ぶ人も多いですが、厳密に言うと間違っている場合が多いのです。
本来の「映画の日」は年に1回の「12月1日」のみです。
シネマコンプレックス大手のウェブサイトを調べてまとめた
シネマコンプレックス大手6社の「毎月1日」または「12月1日」の料金サービスの状況を調べてまとめてみました。(2018年9月2日現在 2019年5月29日、6月25日更新)
▼シネマコンプレックス大手6社の割引情報(各社ウェブサイトから、金額は税込)
映画館 | 毎月1日 | 12月1日 |
イオンシネマ | ハッピーファースト 1,100円 | 映画の日 1,000円 |
TOHOシネマズ | ファーストデイ 1,200円(注1) | 映画の日 1,000円 |
ユナイテッド・シネマ シネプレックス | 映画の日 1,200円(注2) | 映画の日 1,000円 |
MOVIX | ファーストデイ 1,200円(注1) | 映画の日 1,000円 |
109シネマズ | ファーストデイ 1,200円(注1) | 表示なし |
T・ジョイ | ファーストデイ 1,200円(注1) | 映画の日 1,000円 |
各館共通していた「毎月1日」の値段に動きあり
表を見ると分かるとおり、シネコンによってサービスデーの呼び方や料金設定がバラバラで統一されていません。
ユナイテッド・シネマと109シネマズは、ウェブサイトやGoogle検索では「12月1日の映画の日」設定を確認できませんでした。
共通しているのは「毎月1日は料金1,100円(税込)」という点のみ。(2019年6月、7月から変更あり→注1、注2)
(注1)2019年6月1日から料金値上げ(1,100円→1,200円)を発表済
TOHOシネマズ ウェブサイト より引用
109シネマズ ウェブサイト より引用
T・ジョイ ウェブサイトより引用
映画産業団体連合会(映団連)が制定する「映画の日」は12月1日のみ
映画業界には大きく分けて2つの団体があります。
- 一般社団法人映画産業団体連合会(映団連)→映画産業の振興を目的とする社団法人
- 全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)→全国47都道府県の興行組合の全国組織
これ以降は、各団体を略称の「映団連」「全興連」で表記します。
12月1日の「映画の日」は映団連が”日本の映画産業発祥を記念”して制定した
映団連ウェブサイト の「映画の日」の解説は次のとおりです。
- 1896年(明治29年)11月25日~12月1日、エジソンが発明したキネトスコープが、初めて神戸で輸入上映された。
- 60年目にあたる1956年(昭和31年)より12月1日を「映画の日」と制定した。
- 「映画の日」は日本における映画産業発祥(日本で初めての有料公開)を記念する日
映画の日には映団連が「中央大会」で功労者を表彰する
映団連では、映画の日の式典で映画産業の功労者を表彰しています。
”興行側の”全興連の協力で割引サービスを実施している
映団連が制定した「映画の日」には(興行側の団体である)全興連が協力する形で、料金割引やイベントを行っています。
全興連の事業計画にも次のように明記されています。
12.「映画サービスデー」を行い「映画の日」記念行事には全面的に参加、協力する。
12月1日以外のサービスデーは各都道府県の支部が自由に決定
1997年から「12月1日の映画の日」以外のサービスデーは各都道府県の支部が自由に決定できるようになりました。
そして現在ほとんどの映画館で行われいる「毎月1日」の割引サービスが普及するようになったです。
映画の日の由来「キネトスコープ」とは何か?
「映画の日」の由来となった、日本初、神戸で上映された「キネトスコープ」とはどういうものでしょうか?
次の記事 エジソンが発明した映画上映装置”キネトスコープ”は立ったまま観る では、貴重な当時の写真とともに紹介します。